給与・年末調整

【2026年分の年末調整】国外に住む家族の扶養控除:親族関係書類・送金関係書類と38万円の条件

結論

国外に住む家族について扶養控除などを受けるには、家族1人ずつ「家族だと分かる書類(親族関係書類)」と「その年に送金した記録(送金関係書類)」を会社に出すか見せてもらう必要があり、配偶者以外の30歳以上70歳未満の家族は、留学・障害者・その年の送金38万円以上のどれかに当たる場合だけ扶養控除の対象になります。

  • 書類は 家族1人ずつ で見ます。代表の1人にまとめて送ったお金は、受け取った1人の分にしかなりません
  • 親族関係書類は扶養控除等申告書を出すとき、送金関係書類は年末調整のとき。送金の記録は1年分が要るので、年の初めに声をかけておくのが段取りの要です
  • 外国語の書類には日本語の訳が要ります

私は年末調整をマネーフォワード クラウドで行っていて、つまずいたのは外国人の従業員と扶養の処理でした。

この記事の制度の説明は、国税庁の「国外居住親族に係る扶養控除等の適用について」のページ、「国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)」(令和7年6月改訂版)、タックスアンサー No.1180(令和8年4月1日現在法令等)と、区の案内で確かめました(確認日 2026-09-26)。最後の判断は、顧問の税理士か税務署に確かめてください。

この記事が役に立つ人

  • 従業員10人前後の会社で年末調整を担当していて、「国の家族を扶養に入れたい」と言われた人
  • 外国人の従業員の年末調整の全体は 外国人の従業員の年末調整 にまとめています。この記事は、その中の 書類 の話を詳しくしたものです

家族の年齢で、扶養控除の対象になるかが変わる

2023年(令和5年)分から、国外に住む家族のうち 配偶者以外で30歳以上70歳未満 の人は、次のどれかに当てはまる場合だけ扶養控除の対象になります(No.1180 扶養控除(国税庁))。

  1. 留学のために日本を出た人
  2. 障害者
  3. その年に、従業員から生活費や教育費として 38万円以上 の支払いを受けている人
家族年齢の限定書類
配偶者(配偶者控除・配偶者特別控除)なし親族関係書類と送金関係書類が要る
配偶者以外で16歳以上30歳未満、または70歳以上なし親族関係書類と送金関係書類が要る
配偶者以外で30歳以上70歳未満上の1〜3のどれかに当たる人だけ上の2つに加えて、1なら留学ビザ等書類、3なら38万円送金書類

要る書類

どれも会社に 提出するか、提示する(見せる) ものです。

書類中身例
親族関係書類従業員の家族であることが分かる書類①戸籍の附票の写しなど日本の国・地方公共団体が出した書類 と、その家族のパスポートの写し<br>②外国の政府・地方公共団体が出した書類で、家族の氏名・生年月日・住所(居所)が書いてあるもの(出生証明書・婚姻証明書など)
送金関係書類その年に、家族それぞれの生活費や教育費を、そのつど送ったことが分かる書類金融機関の送金の記録(外国送金依頼書の控えなど)、クレジットカード会社の書類(家族カードの利用明細など)、電子決済手段等取引業者の書類
38万円送金書類30歳以上70歳未満で「3」に当てはまる家族だけ送金関係書類のうち、その家族へのその年の支払いの合計が38万円以上と分かるもの
留学ビザ等書類30歳以上70歳未満で「1」に当てはまる家族だけ外国の政府・地方公共団体が出した、留学の在留資格に当たる資格で在留していることが分かる書類(査証や、在留カードに当たる書類の写し)
  • パスポートの写しだけ、住所の書いていない証明書だけでは、親族関係書類になりません
  • 外国語で書かれた書類には、日本語の訳が必要です

出典 → 国外居住親族に係る扶養控除等の適用について(国税庁)/国外居住親族に係る扶養控除等を受ける場合にどのような書類が必要ですか?(国税庁 確定申告書等作成コーナー)

送金は、家族1人ずつで見る

送金関係書類も38万円も、家族1人ずつ で見ます。たとえば配偶者と子が国外に住んでいて、配偶者にまとめて生活費を送っている場合、その送金の記録は配偶者の分にはなりますが、子の分にはなりません(国外に居住する親族について扶養控除等の適用を受ける方へ(荒川区)/渋谷区の案内)。

共同名義の口座に送っている、現金を人に持って行ってもらっている、年をまたいで送った、といった場合の扱いは、国税庁の 国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係・令和7年6月改訂) の送金関係書類の問に載っています。よくある状況の答えは 外国人の従業員の年末調整 にも表にしています。

同じ家族に年3回以上送っている場合は、「国外居住親族に対する送金関係書類の明細書」を出して、その年の最初と最後の送金の書類を出せば、ほかの分は省けます(国外居住親族に対する送金関係書類の明細書(国税庁))。

担当者の段取り表

いつ誰に何を
年の初め(その年の扶養控除等申告書を受け取るとき)国外に家族がいる従業員親族関係書類(30歳以上70歳未満で留学の家族は、留学ビザ等書類も)を出すか見せてもらう。「送金の記録を1年分、捨てずに取っておいてください」と伝える
10月同じ従業員年末調整の案内と一緒に、その年の送金の記録を集め始めてもらう。38万円に届きそうか、本人に確かめてもらう
11月(年末調整の書類と、翌年分の扶養控除等申告書を配るとき)同じ従業員送金関係書類(30歳以上70歳未満で38万円の家族は、38万円送金書類も)の提出か提示を頼む。翌年分の申告書にも国外の家族を書くなら、親族関係書類がまた要る
12月(年末調整)担当者本人家族ごとの確認表で、書類がそろっているかを見る。そろわない家族は扶養に入れずに計算する
翌年1月担当者本人出してもらった書類・見せてもらった記録を、申告書と一緒に保管する

年末調整全体の10月〜1月の順番は 一人で担当する年末調整2026 にまとめています。

従業員に配る一言(見本)

そのままコピーして使えるように書いています。

国外に住むご家族を、所得税の扶養(扶養控除・配偶者控除など)に入れる場合のお願いです。

  1. ご家族1人ずつについて、「家族であることが分かる書類」(外国の役所が出した、氏名・生年月日・住所が書いてある証明書など)を出してください。外国語の書類には日本語の訳を付けてください。
  2. ご家族それぞれへの、今年の送金の記録(銀行の送金の控え、家族カードの明細など)を、捨てずに1年分取っておいてください。年末調整のときに出していただきます。
  3. 何人分かをまとめて1人に送ったお金は、受け取った方の分にしかなりません。ご家族ごとに送ってください。
  4. 健康保険の扶養は別の決まりです。国外に住むご家族は、原則として健康保険の扶養には入れません。

家族ごとの確認表

国外の家族1人につき1行で使います。

家族(続柄)12月31日の年齢親族関係書類送金関係書類38万円送金書類(30〜69歳・送金の場合)留学ビザ等書類(30〜69歳・留学の場合)日本語訳
(例:母)□□□ 要/□ 不要□ 要/□ 不要□
□□□ 要/□ 不要□ 要/□ 不要□
□□□ 要/□ 不要□ 要/□ 不要□

つまずきやすい所

  • まとめて送っている — 上のとおり、受け取った1人の分にしかなりません。年の途中で気づいたら、その後は家族ごとに送ってもらいます
  • 書類がそろわない — 書類の提出も提示もなければ、その家族は扶養に入れられません。年末ぎりぎりに気づくと、本人との調整が大変です
  • 住民税 — 30歳以上70歳未満の家族の限定は、住民税でも令和6年度(2024年度)から同じ扱いです(渋谷区の案内)。区市町村の案内もあわせて確認します

出典

まとめ

  • 親族関係書類(家族であること)と 送金関係書類(その年に送ったこと)を、家族1人ずつ。提出でも提示でもよい
  • 配偶者以外の30歳以上70歳未満 は、留学・障害者・38万円以上の送金のどれかの場合だけ扶養控除の対象。配偶者に年齢の限定はない
  • 外国語の書類は 日本語訳 が必要
  • 年の初めに 送金の記録を取っておいてもらう
  • 健康保険の扶養は別の決まり

年末調整全体の順番は 一人で担当する年末調整2026、ソフトで回すときの流れは マネーフォワード クラウド年末調整のやり方 へ。