給与・年末調整

【2026年12月の年末調整】扶養の判定:所得62万円(年収136万円)に上がる年に迷う所

結論

2026年12月の年末調整は、扶養親族などの所得の要件が「58万円以下」から「62万円以下」に上がって初めての年なので、新しく扶養に入れられる家族を申告書に書き足してもらい、12月31日の時点と所得の見込みで判定する。

担当者がやることは3つです。

  1. 11月までに、従業員へ一言配る(家族のその年の収入の見込みと、新しく扶養に入れられる家族がいないか)
  2. 回収した申告書を、下の「判定の順番」で見る
  3. 迷うものは、国税庁の該当ページか、顧問の税理士に確かめる(自分で決めない)

金額の細かい所(控除額・年収別の額)はこの記事では計算しません。最後の「国税庁のページ」から確かめてください。

この記事が役に立つ人

  • 従業員10人前後の会社で、年末調整を一人で担当している人
  • 2026年の改正で、扶養の判定の何が変わるかを先に押さえたい人

私も年末調整では、扶養の処理でつまずきました(年末調整はマネーフォワード クラウドで回していました)。ソフトは計算をしてくれますが、「この家族を扶養に入れてよいか」は、申告書を読む人が判断する所です。

何が変わるか(2026年分)

区分2025年分2026年分
扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額の要件58万円以下62万円以下
配偶者控除の対象になる配偶者の合計所得金額の要件58万円以下62万円以下

出典:No.1180 扶養控除・No.1191 配偶者控除(国税庁)

給与だけの家族なら、給与収入136万円以下 が目安です(No.1191 配偶者控除(国税庁))。

古い額の記事に注意します。 検索で出てくる解説には、「48万円以下(年収103万円)」や「58万円以下(年収123万円)」のまま更新されていないものがあります。従業員が「103万円まで」と思い込んでいることもあるので、配る一言で今年の要件を伝えます。

担当者の段取り(10月〜1月)

扶養の判定に関わる所だけを抜き出しています。

時期誰に何を
10月自分国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」と様式が出ているか確かめる。年末調整のソフトが令和8年分に対応したかを確かめる
10月〜11月従業員全員下の「配る一言」を送る
11月従業員今年分の扶養控除等(異動)申告書の直し・書き足し、基礎控除申告書などの年末調整の書類を回収する。あわせて来年分(令和9年分)の扶養控除等申告書を配る
11月まで退職者など11月30日までに最後の給与を払った人(年の途中で亡くなって退職した人、海外へ転勤した人など)の年末調整には、新しい要件が使われない(国税庁 Q&A Q1-3)。本人や家族に、確定申告などが必要になることを伝える(同 Q&A Q6-3・Q7-1)
12月自分回収した書類を「判定の順番」で見る。迷うものは税理士に確かめてから、12月の給与か賞与で年末調整をする
1月従業員源泉徴収票を渡す。年末調整のあとに家族の変化や見込み違いが分かったら、やり直しを検討する

10月〜1月の全体の順番は 一人で担当する年末調整2026:10月から1月までの順番、来年分の申告書で変わることは 令和9年分の扶養控除等申告書で変わること、1月の手続きは 2027年1月の給与計算の前に確かめること にまとめています。

従業員に配る一言(そのまま使える見本)

チャットやメールにそのまま貼れる形にしています。会社名・期限は書き換えてください。

【年末調整のお願い:ご家族の扶養について】

今年(2026年分)から、扶養に入れられるご家族の所得の要件が
「58万円以下」から「62万円以下」に上がりました。
(給与だけのご家族なら、年収136万円以下が目安です)

次の3つを、11月◯日までに教えてください。

1. 扶養に入れているご家族の、今年1年の収入の見込み
   (パート・アルバイト・年金など。12月までの見込みで構いません)
2. 今年の要件の引き上げで、新しく扶養に入れられそうなご家族がいるか
   (いる場合は、扶養控除等申告書に書き足していただきます)
3. 共働きの方は、お子さんをご夫婦のどちらの扶養にしているか
   (同じお子さんを、ご夫婦の両方の勤務先で申告することはできません)

国外に住むご家族を扶養に入れている方は、別に書類が必要です。個別にご連絡します。

※ 税金の「扶養」と、健康保険の「扶養」は基準が別です。
  健康保険の扶養のことは、別途ご相談ください。

判定の順番

扶養の判定の順番(2026年分の年末調整)
扶養の判定の順番(2026年分の年末調整)

申告書に書かれた家族を、上から順に見ます。どこかで「いいえ」になったら、そこで止めて理由を確かめます。

  1. その家族は、12月31日の時点で生計を一にしているか(年の途中で亡くなった家族は、亡くなった時点で見る)
  2. その家族の今年の合計所得金額の見込みは、62万円以下か
  3. 配偶者なら:従業員本人の合計所得金額は1,000万円以下か
  4. 子などなら:12月31日の時点で16歳以上か(16歳未満は所得税の扶養控除の対象外。申告書には書いてもらう)
  5. 国外に住む家族なら:年齢の条件と、必要な書類がそろっているか
  6. ほかの人の扶養に重ねて入っていないか(共働きの夫婦など)

2で「いいえ」になっても、そこで終わりにしない家族がいます。配偶者で62万円を超える場合は、配偶者特別控除の対象かを、配偶者控除等申告書と No.1195 配偶者特別控除(国税庁) で確かめます。 19歳以上23歳未満の子は、下の「9.」を見ます。

迷いやすい所

1. 新しく扶養に入れられる家族を見落とす

要件が上がったので、所得が58万円を超えて62万円以下の家族は、今年から扶養控除などの対象になりえます。 年の初めに出してもらった今年分の扶養控除等申告書には、書かれていないことが多い所です(19歳以上23歳未満で「源泉控除対象親族」として書いていた子は、改正で扶養控除の対象に変わることがあります。国税庁 Q&A Q2-4)。

国税庁の Q&A(Q2-1)では、改正で新しく扶養控除などの対象になった家族は、扶養控除等申告書に書いて出してもらい、「異動月日及び事由」の欄に「令和8年12月1日 改正」などと書くとしています(令和8年度税制改正 Q&A(国税庁・PDF))。配る一言の2で、該当する家族がいないかを確かめます。

2. 所得は「見込み」で判定する

年末調整の時点では、家族のその年の所得はまだ決まっていません。その年の所得の見込みで判定します。パートの収入などは、12月までの見込みを従業員に確かめてもらいます。見込みが外れたときの扱いは、下の「10. 年末調整のあとで変わったとき」を見ます。

3. 判定は12月31日の時点。年の途中で亡くなった家族は、亡くなった時点

扶養に入れるかどうかは、原則としてその年の12月31日の現況で判定します(No.1180)。年の途中で結婚した配偶者も、12月31日に要件を満たしていれば対象になります。

一方、年の途中で亡くなった家族は、亡くなった時の現況で判定します(所得税法第85条第3項)。国税庁の Q&A では、年の途中で亡くなった配偶者について、所得の要件はその年の1月1日から亡くなった日までの所得で見るとしています(No.1191 配偶者控除 Q&A)。「もう亡くなったから外す」と早合点しないようにします。

4. 別に暮らしていても「生計を一にする」ことはある

同居していなくても、仕送りなどで生活費を出していれば、生計を一にしているとされることがあります。別居の親などを扶養に入れる従業員には、仕送りの事実を確かめます。意味は No.1180 の Q&A で確かめます。

5. 16歳未満の子

16歳未満の子は、所得税の扶養控除の対象ではありません(12月31日の時点の年齢で見る)。ただし、住民税の計算に使うので、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」には書いてもらいます。 「控除がないなら書かなくていい」と思われやすい所です。

6. 共働きの夫婦の子

同じ世帯に働く人が2人いる場合、子をどちらの扶養にするかは、それぞれが出す扶養控除等申告書に書いたとおりになります。同じ子を夫婦の両方が申告しなければ、どちらの扶養でも構いません(2以上の所得者がいる場合の扶養親族等の所属(国税庁))。会社から配偶者の勤務先の書類は見えないので、配る一言で本人に確かめます。

7. 配偶者控除は、従業員本人の所得も見る

配偶者の所得だけでなく、従業員本人の合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者控除は受けられません(No.1191)。10人規模の会社でも、役員の年末調整を担当していれば当てはまることがあります。

8. 国外に住む家族(30歳以上70歳未満)

国外に住む30歳以上70歳未満の家族は、留学している人・障害のある人・その年に生活費や教育費として38万円以上の送金を受けている人のどれかに当たらないと、扶養控除の対象になりません(No.1180)。国外の家族には、親族関係書類や送金関係書類も必要です(国外居住親族に係る扶養控除等の適用について(国税庁))。

書類の中身は 国外に住む家族を扶養に入れるときの書類、外国人の従業員の年末調整全体は 外国人の従業員の年末調整 にまとめています。

9. 19歳以上23歳未満の子で、所得が62万円を少し超える

大学生の子のアルバイトなどで所得が62万円を超えても、19歳以上23歳未満なら 特定親族特別控除 の対象になることがあります。国税庁は、給与だけの場合は給与収入197万円以下までを対象としています(No.1177 特定親族特別控除)。扶養から外れた子でも、この控除の申告書の欄があることを従業員に伝えます。

10. 年末調整のあとで変わったとき

年末調整のあと、その年の12月31日までに扶養の人数が変わったときは、源泉徴収票を出すまでなら、扶養控除等(異動)申告書を出してもらって年末調整をやり直せます。税額が足りなくなる場合のやり直しは、翌年の1月末以降でも必要とされています(No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき)。

11. 税の扶養と、健康保険の扶養は別

税金の扶養と、健康保険の扶養(被扶養者)は、基準も届け出る先も別です。「扶養の範囲内で働きたい」と相談されたら、どちらの話かを先に確かめます。この記事で扱っているのは税金の扶養だけです。

国税庁のページ(確かめる先)

まとめ

  • 2026年分は、扶養親族などの所得の要件が 62万円以下 に上がって初めての年末調整
  • 新しく扶養に入れられる家族と、古い額で覚えている従業員に気をつける
  • 判定は 12月31日の時点(年の途中で亡くなった家族は亡くなった時点)で、所得は 見込み で見る
  • 迷うものは、国税庁のページか顧問の税理士に確かめる

10月〜1月の全体の順番は 一人で担当する年末調整2026:10月から1月までの順番、ソフトで回すときの流れは マネーフォワード クラウドで年末調整をする流れ にまとめています。