給与・年末調整

給与計算ソフトを年の途中で切り替える手順:引き継ぐ累計・住民税・社会保険の等級と、年末調整への影響(2026年版)

この記事の手順は、運営者の体験ではなく、公式情報をもとにまとめています。制度の説明は国税庁・日本年金機構・総務省、画面の名前はマネーフォワード クラウドの公式ヘルプで、2026-09-25〜26に確かめたものです。freeeについては、案内するヘルプの記事までを確かめています。細かい動きは、そのヘルプで確かめてください。

結論

1月支給分から切り替えられるなら、それがいちばん手間が少なく、年の途中で切り替えるなら ①1月からの累計 ②住民税の残りの月の額 ③標準報酬月額と適用開始月 ④社会保険料の徴収の方法(当月か翌月か) の4つを新しいソフトに入れます。

  • ①1月から切り替え前の月までの給与・賞与の累計(支給額・社会保険料・源泉徴収税額)が抜けると、年末調整と源泉徴収票が合いません。②〜④が抜けると、切り替えた月の給与から違ってきます
  • 1月支給分から切り替えると①が要らなくなり、今年の年末調整は今のソフトで終えられます。ただし②〜④は、1月から切り替えても入れます
  • 今のソフトは、累計を書き出し、新しいソフトとの突き合わせが済み、書類を保存し終えるまで解約しません

乗り換え先を決める前に気になりやすい3つ:

この記事が役に立つ人

  • 従業員10人前後の会社で、給与と年末調整を一人で担当していて、給与計算ソフトを乗り換えると決めた人
  • 「年末調整が終わってから」か「今すぐ」か、切り替える月を決めかねている人

今のソフトの解約の手順は、freee人事労務の解約方法 にまとめています(ほかのソフトでも、ダウンロードするものの考え方は同じです)。

先に決める:1月から切り替えるか、年の途中で切り替えるか

1月支給分から切り替える年の途中で切り替える
今年の年末調整今のソフトで終える新しいソフトで行う
1月からの累計の入力要らない要る(従業員ごと・月ごと)
住民税の天引き額1〜5月分を入れる切り替えた月から5月分までを入れる
標準報酬月額・徴収の方法入れる入れる
今のソフトを残す期間1月31日までに、給与支払報告書を市区町村に出し、源泉徴収票を従業員に渡し終えるまで累計を書き出し、突き合わせが済むまで
向いている場合急がない。年末調整を慣れたソフトで終えたい今のソフトの更新日が迫っている、使い続けられない事情がある

月は 支給日 で数えます。年末調整で使うのは「1月1日から12月31日までの間に支払うべきことが確定した給与」だからです(No.2662 年末調整のしかた(国税庁))。末締め翌月払いの会社では、12月に働いた分の給与(1月に支給)は翌年の分になります。「1月支給分から切り替える」とは、1月に払う給与から新しいソフトで計算する、という意味です。

年の途中で切り替えるなら、次の月は作業が重なります。

  • 5月・6月支給分:算定基礎届に使う4〜6月の報酬が、2つのソフトに分かれます。届けを出すときに、2つのソフトの数字を手でつなぐことになります(算定基礎届の提出は7月10日まで。定時決定(日本年金機構))。6月支給分は、住民税の年度が変わり、天引き額が新しい通知書の額に変わる月でもあります(住民税の特別徴収は6月から翌年5月まで。個人住民税(総務省))
  • 7月支給分:4〜6月の報酬は全部今のソフトに残るので、7月10日までに出す算定基礎届は今のソフトの数字で作ります。9月から使う新しい等級は、決まったら新しいソフトに入れます
  • 12月支給分:年末調整の月です

1月から切り替える場合の段取り(いまから準備すると間に合う)

時期やること
10月新しいソフトを決めて、無料の期間で試す。締め日・支給日・社会保険料の徴収の方法を、今のソフトと同じに設定する
11月従業員を登録する(CSVで一括が早い)。標準報酬月額と、住民税の1〜5月分の額を入れる
12月今のソフトで12月の給与と年末調整を行う。同じ12月の給与を新しいソフトでも計算して、1人ずつ差がないか比べる
1月1月支給分から新しいソフトで計算する。今のソフトで給与支払報告書を市区町村に出し、源泉徴収票を従業員に渡す(期限は1月31日。令和9年1月からは、給与支払報告書を出せば、税務署への源泉徴収票の提出は要らなくなる。No.7411(国税庁))
2月以降今のソフトから書類を保存し終えたら解約する

年の途中から使い始めるときの入れ方の公式ヘルプ(マネーフォワード クラウド):

freee人事労務へ移す場合の、年の途中から使い始める手順は、今回はfreeeのヘルプで確かめられませんでした。申し込む前に、freeeのヘルプかサポートで「切り替える前の月の給与をどこに入れるか」を確かめてください。

引き継ぐものの表

従業員ごとに、次のものを今のソフトと書類から集めます。

引き継ぐもの何に使うかどこから取るか年の途中で切り替え1月から切り替え
1月から切り替え前の月までの給与・賞与の支給額(課税と非課税を分ける)年末調整の給与の合計、源泉徴収票の支払金額今のソフトの賃金台帳要る要らない
同じ期間の社会保険料の本人負担額年末調整の社会保険料控除賃金台帳要る要らない
同じ期間の源泉徴収税額年末調整の過不足(還付・徴収)賃金台帳・源泉徴収簿要る要らない
住民税の月ごとの天引き額毎月の住民税の天引き市区町村から届く特別徴収税額決定通知書切り替えた月から5月分まで1〜5月分
標準報酬月額(健康保険・厚生年金)と適用開始月毎月の社会保険料年金事務所・健康保険組合からの決定通知書要る要る
社会保険料の徴収の方法(当月か翌月か)切り替えた月に2回引く・引き忘れるのを防ぐ今のソフトの設定要る要る
4〜6月の報酬、昇給・降給があった月からの報酬算定基礎届、随時改定の判定賃金台帳切り替える月による年の途中で昇給があった人だけ
扶養の人数・区分と、変わった月毎月の源泉徴収、年末調整扶養控除等申告書要る令和9年分の申告書の中身を入れる
今年入社した人の、前の勤め先の源泉徴収票年末調整(前の勤め先の給与も含めて計算する)本人から回収した源泉徴収票要る要らない
雇用保険の資格取得日・区分雇用保険料今のソフト、資格取得の確認通知要る要る

表の根拠:

  • 年末調整は、1年間に支払うことが確定した給与の合計で税額を計算し直し、源泉徴収した税額の合計との差を精算します(No.2662 年末調整のしかた)
  • 年の途中で入社した人は、前の勤め先の給与も含めて年末調整します。前の勤め先の源泉徴収票で、給与の額・所得税・社会保険料を確かめます(No.2674 中途就職者の年末調整)
  • 住民税の天引き額は、市区町村が特別徴収税額決定通知書で月ごとに知らせます(個人住民税(総務省))
  • 標準報酬月額は、4〜6月の報酬で決まり、9月から翌年8月まで使います(定時決定(日本年金機構))
  • 昇給・降給などで固定的賃金が変わったときは、変わった月から続く3か月(いずれも支払基礎日数17日以上)の報酬の平均が、今の等級と2等級以上違うときに改定します(随時改定。随時改定(日本年金機構))

住民税の額は、今のソフトに登録してある額ではなく、決定通知書から入れ直す のが安全です。年度の途中で変更の通知が届いた人の額が、今のソフトで直っていないことがあるためです。6月分だけ7月以降と額が違うことにも気をつけます。

例:freee人事労務からマネーフォワード クラウド給与へ、年の途中で移す場合

運営者は、freee人事労務からマネーフォワード クラウドへ移したことはありません。両社の公式ヘルプをもとにした流れです。

① freee人事労務:切り替える前の月までを確定して、書き出す

  • 切り替える前の月までの給与・賞与を すべて確定 してから、賃金台帳を出します。確定していない月が台帳にどう出るかは、賃金台帳を作成する(freeeヘルプ) で確かめてください
  • 賃金台帳を PDFとCSVの両方 で出します。PDFは保存用、CSVは新しいソフトへ数字を写すためと、突き合わせのためです
  • 従業員情報をCSVで出します(従業員情報をエクスポートする(freeeヘルプ))。マイナンバーをこのエクスポートで出せるか、別の手続きが要るかも、同じヘルプで確かめてください。ダウンロードするものの一覧は freee人事労務の解約方法 の「ダウンロードするもの」にあります

私はfreee人事労務で、社労士への共有はPDF、管理会計で数字を使うときはCSVと、書き出しを使い分けていました。共有にはPDF、数字を集計し直すにはCSVと、用途ごとに形を分けて出しておくと、あとで使い回しやすくなります。

② マネーフォワード クラウド給与:従業員と、毎月の計算に要るものを入れる

入れるもの画面・方法公式ヘルプ
従業員「従業員情報」→「CSVで従業員を追加する」。必須は姓・性別・都道府県・契約種別・給与区分・入社年月日CSVファイルを利用した従業員の登録・更新方法
標準報酬月額従業員情報の「健康保険 / 厚生年金保険」タブ →「標準報酬月額を追加」。適用開始月 もあわせて入れる「従業員情報」画面の使い方
住民税の月ごとの額従業員情報の「給与情報」タブの「住民税納付額」/CSVの「年度(住民税)」「●月納付額(住民税)」/eLTAXの特別徴収税額通知のCSVを読み込む住民税納付額を登録する方法
社会保険料の徴収の方法「基本設定」→「全般」→「締め日グループ」の「社会保険料徴収方法」社会保険料の当月徴収
扶養・税額表の区分従業員情報の「一般情報」タブの「扶養情報」「所得税」「従業員情報」画面の使い方
  • 社会保険料の徴収の方法は、変えると 確定していない給与の計算 に効きます。最初の給与を確定する前に合わせます
  • 子ども・子育て支援金を計算し始める月も、この徴収の方法で決まります(翌月徴収なら2026年5月1日以降の支給日、当月徴収なら4月1日以降の支給日から。計算開始月前に子ども・子育て支援金を計上する方法)

③ マネーフォワード クラウド年末調整:切り替える前の月の給与を入れる

マネーフォワード クラウドでは、年末調整は クラウド年末調整 で行います。「給与・賞与」の画面では、給与の情報を 1月〜12月の月ごと に扱い、クラウド給与からの取り込みと、CSVの読み込みができます(「給与・賞与」画面の使い方)。

  • 切り替えた後の月:クラウド給与から取り込む(先に連携の設定が要ります)
  • 切り替える前の月:freeeの賃金台帳の数字を、CSVで入れる。登録済みの情報を直すときは、「エクスポート」で出したCSVを編集してから読み込む よう案内されています。読み込める項目は、公式の「CSVインポートできる項目一覧」(Excel)で確かめます(インポートできる項目一覧)
  • 今年入社した人の前の勤め先の分:「前職情報」の画面にCSVで入れます(「前職情報」画面の使い方)

私は年末調整をマネーフォワードで行い、外国人の従業員 と 扶養の処理 でつまずきました。切り替えの年は、この2つにも時間を取っておくと安心です。詳しくは 外国人の従業員の年末調整 と 扶養の判定で迷う所、全体の流れは マネーフォワード クラウド年末調整のやり方【2026年分】 にあります。

SmartHRからマネーフォワード クラウドへ移す場合は、SmartHRからマネーフォワード クラウドへ移行する手順 にまとめています。

2つのソフトでずれやすい所

ずれやすい所起きること決め方
社会保険料の徴収の方法(当月・翌月)今のソフトが当月、新しいソフトが翌月だと、切り替えた月に前の月の保険料をもう一度引く。逆だと1か月分引き忘れる今のソフトと同じにする。変えたいなら、切り替えが落ち着いてから別の月に変える
所得税の計算のしかた(税額表か、電子計算機の特例か)端数の扱いが違い、源泉徴収税額が少しずれることがある。マネーフォワード クラウド給与の端数処理は、税額表は1円未満切り捨て、電子計算機の特例は10円未満四捨五入で、変更はできない(端数処理について)切り替えた月の差がこの範囲かを確かめる。年末調整で精算されるので、差の理由が説明できればよい
支給・控除の項目と、課税・非課税の区分通勤手当などの区分が違うと、課税支給額の累計が合わない今のソフトの項目を一覧にして、1つずつ新しいソフトの項目に対応させる(支給項目・控除項目の追加方法)
締め日・支給日勤怠の取り込みの期間がずれる今と同じにする。勤怠のソフトも変えるなら 勤怠管理システムを乗り換えるタイミング
標準報酬月額の適用開始月9月に変わった等級が反映されず、古い等級で計算される決定通知書の月で入れる

突き合わせのチェック表

切り替えた後の最初の給与を確定する前と、年末調整の前に、1人ずつ見ます。

いつ何を比べるか合っていればよい状態
最初の給与を確定する前人数今のソフトの前の月と同じ(入退社を除く)
同上社会保険料(1人ずつ)等級が変わった人以外は、前の月と同じ
同上住民税(1人ずつ)決定通知書のその月の額と同じ
同上源泉徴収税額(1人ずつ)支給額と扶養の人数が同じなら、前の月とほぼ同じ(差は端数の範囲)。1月支給分から切り替えるときは下の注を見る
同上総支給額・差引支給額の合計前の月との差を、残業・入退社などで説明できる
年末調整の前1月からの給与・賞与の合計今のソフトの賃金台帳の合計+新しいソフトの合計と一致
同上1月からの社会保険料・源泉徴収税額の合計同上
同上今年入社した人の前職の分前の勤め先の源泉徴収票の数字と一致

1月支給分から切り替えるときの源泉徴収税額:2027年1月以後に払う給与は令和9年分の税額表で計算し、扶養の情報も令和9年分の申告書の中身になるので、12月と1月の税額は端数の範囲を超えて違うことがあります。1月は前の月と比べずに、新しいソフトの税額を 令和9年分の税額表(国税庁) と比べます。ソフトどうしの比べ合わせは、段取り表のとおり、同じ12月分を両方のソフトで計算して行います。

合わない人がいたら、どの月で差が出たかを、月ごとの一覧で探します。合計だけ見ていると、原因の月を探すのに時間がかかります。

今のソフトのデータの保存

  • 解約の前に、賃金台帳(PDFとCSV)・源泉徴収簿・従業員情報を出します。 解約するとログインできなくなるソフトがあります
  • 賃金台帳などの労働関係の書類は5年間(当分の間は3年間。労働基準法 第109条・附則 第143条)の保存が決まっています。扶養控除等申告書などは7年間です(No.2503 扶養控除等申告書等の保存期間(国税庁))。表にした一覧は freee人事労務の解約方法 の「書類はいつまで残すのか」にあります
  • 年払いの契約なら、更新日を先に確かめます。更新日の前に切り替えを終えるか、1年分を払ってから1月に切り替えるかで、段取りが変わります

従業員へ配る一言(見本)

切り替えると、給与明細の見た目や、明細を見る場所が変わります。最初の明細の前に、こう伝えておくと問い合わせが減ります。

◯月支給分の給与から、給与計算のシステムが変わります。給与明細は◯◯で見られるようになります(ログインの案内は別に送ります)。金額の計算のしかたは変わりません。明細の見た目が変わるだけです。気になる所があれば、◯◯まで知らせてください。

つまずきやすい所

  • 源泉徴収票の支払金額が、切り替えた後の分しか載っていない:切り替える前の月の給与を、年末調整の側に入れていません。上の③のとおり、月ごとに入れます
  • 切り替えた月だけ、社会保険料が2か月分引かれた:徴収の方法(当月・翌月)が今のソフトと違います。確定する前に設定を直します
  • 住民税が前の月と違う:6月の年度替わりか、変更の通知が反映されていないかです。決定通知書と比べます
  • 今のソフトを解約してから、賃金台帳が足りないと気づいた:確定していない月があると、台帳の数字が足りなくなります。全部の月を確定してから出し、解約はいちばん最後にします
  • 7月に算定基礎届を出すときに、4〜6月の報酬が2つのソフトに分かれている:5月・6月支給分で切り替えた場合は、今のソフトの賃金台帳の数字と新しいソフトの数字を足して、手で届けを作ることになります(切り替える月を選ぶとき、ここを避けます)

よくある質問

年末調整だけ、新しいソフトで行えますか?

マネーフォワード クラウド年末調整は、給与の情報を1月〜12月の月ごとにCSVで読み込めます。給与計算は今のソフトのままで、年末調整だけを先に移す使い方もできます。ただ、その年は月ごとの数字を1年分入れることになるので、12月までの給与を今のソフトで確定してから入れると、入れ直しが減ります。

年の途中で切り替えるなら、何月がいいですか?

5月・6月支給分(算定基礎届に使う4〜6月の報酬が分かれる。6月は住民税の年度替わりとも重なる)、7月支給分(算定基礎届を今のソフトの数字で作り、9月からの等級を新しいソフトに入れる)、12月支給分(年末調整)を避けると、作業が重なりません。更新日などで急がないなら、1月支給分からが最も手間がかかりません。

過去の月の給与明細を、新しいソフトで作り直す必要はありますか?

年末調整に要るのは月ごとの数字で、明細の作り直しではありません。過去の月の明細や賃金台帳は、今のソフトから出したPDFを保存しておきます。

1月から切り替えるなら、今のソフトはいつ解約できますか?

1月31日までに、今のソフトで給与支払報告書を市区町村に出し、源泉徴収票を従業員に渡し終えてからです(令和9年1月からは、給与支払報告書を出せば、税務署への源泉徴収票の提出は要りません。No.7411)。年末調整の書類は、契約がないと出せないソフトがあります。

まとめ

  • 年の途中で切り替えるなら、①1月からの累計 ②住民税の残りの月の額 ③標準報酬月額と適用開始月 ④徴収の方法 を新しいソフトに入れる
  • 1月支給分からの切り替えが最も手間が少ない。それでも②〜④は入れる
  • 切り替えた最初の月と年末調整の前に、1人ずつ突き合わせる
  • 今のソフトは、賃金台帳などを出し終えてから、いちばん最後に解約 する

次に読む: